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子供が話す内容は、、日常の生活を知らないと、理解できない事がたくさんあります。 子供は一通り話せるようになると、電話に出たがります。 私の母から電話がありました。跳んできて受話器を取るなり娘は、 「婆ちゃん。タコは怖いよー」 母はテレビでタコの怪物でも見たと思い、 「吸い付いて、墨かけられるから?」 娘はけげんそうな顔をしています。実は昨日遊園地で、かなり回転の早いタコの遊戯物に乗ったのです。 子供は似た言葉を、よく間違えます。 私の妹の娘が、今度の旅行で泊まったホテルの話しを母にしていました。 「夜は〈ホテル〉でたくさん美味しい物を食べたんだよ。それでさ、……」 私は話しを聞きながら、(うちは一度も娘を旅行に連れていってないな)と思っていました。すると何処で話しを聞いていたのか、突然私の娘がやってきて一言、 「〈ホタル〉は夜光るんだよね!」 (ホタルとホテルか、まいったなー) 子供は簡単には理解できない事を、ときどき言います。 妹の息子を、私はいつも『まさき坊主』と呼んでいました。 ある日、娘の頭に出来た汗疹が、かゆいらしいので、 「頭を坊主にしてやろうか?‥‥」 冗談を言うと、真剣な顔で娘が言いました。 「坊主は痛いから嫌だ!」 「何で痛いの?」 「坊主は噛るの」 娘の腕には、『まさき坊主』の歯形がくっきりと付いているのでした。 子供は突然の出来事の後、突拍子もない事を言う事があります。 この夏、二才半の娘を川で遊ばせていたのですが、紙おむつをしたまま水に入れたので、おむつがいきなり水を吸い込み、流されて潜ってしまいました。慌てて引き揚げ背中を叩きながら、 「だいじょうぶか? だいじょうぶか?」 私は一生懸命体を揺すりました。すると、気を取り戻した娘は一言、 「川の中にお魚見えなかったよ」 数々の話題を提供してくれる子供も、大きくなると何も覚えてないものなのです。 私は高一の頃まで、祖父母の家にいくと気になっていた事がありました。それは襖の一枚に大きな染みがあることでした。かなり高い処に一カ所だけあるのです。ある日私は、祖母に尋ねました。 「いつも気になっていたんだけど、あの染みは何なんだい?」 祖母は遠くを見るように言いました。 「あれはおまえが三つの頃、風呂から出て『高い高い』をしてもらっていた時、突然小便をした跡だよ」 ![]() |
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